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松坂世代最後の現役選手・和田毅43歳は、なぜ年々進化できるのか? 2年前に起きた体調の変化「登板日の朝に限って…」 

text by

君塚麗子

君塚麗子Reiko Kimizuka

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photograph byKiichi Matsumoto / Takuya Sugiyama

posted2024/04/11 11:00

松坂世代最後の現役選手・和田毅43歳は、なぜ年々進化できるのか? 2年前に起きた体調の変化「登板日の朝に限って…」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto / Takuya Sugiyama

最後は脳を鍛えたい

山田 私たちも、もっと多くの人に、人生の早いタイミングで正しい知識を持ってほしいという思いから、血糖値やロカボに関するセミナーを開催しているんです。血糖測定すると、食後高血糖はやはり30~50代に多く、さらに運動習慣について質問すると、ランニングを趣味とされている方が目立ちます。250mg/dLという極度の高血糖を起こしている方もいて、聞けばレース前は習慣的にカーボローディングを行なっていると。

和田 野球選手の場合も、やはり登板日に向けてエネルギーを蓄えるということで投手に多いです。

山田 そのような中でも和田さんは理解が早い上に行動力もあり、本当に伝えがいがありました。最近、ほかにも何か新しいことを取り入れていらっしゃるとか。

和田 はい、今回の自主トレでは「脳トレ」を導入しました。野球選手として体を鍛えて、食についても考えて、あとは脳を鍛えるしかないなって思ったんです。脳のシナプスを増やすことを目的としたライフキネティック(6)というプログラムなんですけど、例えば、片足で立つときの平衡感覚とか、瞬時の判断とか。野球で言うと「この場面はボールを捕ってからどっちに投げれば良いのか」というときの判断時間を速める、そんなトレーニングです。

山田 今シーズン、ますます進化しそうですね。

和田 昨年自分がやってきたことが正しいと分かったので、それをまたしっかり継続して、今シーズンにつなげたいです。去年の成績を超えられるように頑張りたいと思います。

(1)カーボローディング

試合やレースの直前にパスタやご飯などを大量に食べて糖質をため込むというアスリートに定番の食事法。筋肉内のグリコーゲン量を増やしてエネルギー切れを起こさないようにするという概念。マラソンなどの長距離走をするようなランナーにも実践している人が多い。

(2)血糖値の乱高下

糖質をたくさん食べるほど血糖値が上がるので、食事をする前の空腹時血糖と、食事をした後の血糖値の差が大きくなる。健康な人では食事を摂ったあとでも140mg/dLを超えることはないが、血糖異常や糖尿病の人は空腹時でも126mg/dLを超えたり、食後に急激な血糖値の上下動を起こしたりする。

(3)炭水化物(糖質)

人間が活動するためのエネルギーは炭水化物、脂質、たんぱく質のみで作られ、これを三大栄養素という。さらに炭水化物は糖質と食物繊維に分けられる。糖質はご飯、パン、麺類など主食と呼ばれるものやお菓子、フルーツなどに多く含まれる。食物繊維は野菜やキノコ類、海藻などに多く含まれる。

(4)リブレ

指先に針を刺すことなくグルコース(ブドウ糖)濃度が測定できる「Free Styleリブレ」。上腕の後ろ側にセンサーを装着し、リーダーにかざすだけで手軽に測定が可能。センサーは装着したままで普段の生活ができる。五輪2連覇のマラソンランナー、エリウド・キプチョゲなど活用しているアスリートも多い。

(5)ロカボ

1食の糖質量20~40g、間食は10gまでとし、1日の総糖質量70~130gにする緩やかな糖質制限。山田悟医師が提唱し全国に広く普及している。糖尿病患者の治療食として始まり、現在ではダイエットや健康などを目的とした人たちばかりでなく、第一線で活躍するアスリートにも実践している人が多い。

(6)ライフキネティック

ドイツの運動指導者が開発した脳機能を活性化させるためのトレーニング。運動と脳トレを組み合わせた簡単な動きで脳に刺激を与えて神経の伝達機能の強化を促す。脳の能力向上、柔軟性向上、処理速度向上などに効果があるとされている。発祥地のドイツを中心に世界各国のスポーツ界で導入が進んでいる。

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