「降りた時に、どっちに加点が付きやすそうかを考えました。フリップの方がトウ系で流れるし、高さもでる。それにモノにすれば、試合での確率はフリップのほうが高そうだなって思いました」

　4回転フリップのような“超”高難度ジャンプを練習しはじめると、すでに試合で入れている4回転サルコウとトウループについて、客観的に見ることができた。

「4回転サルコウは、力を入れて跳ぶと回りすぎてしまうんです。それを意識して、全日本選手権は（フリー冒頭で）落ち着いて跳んだんですが、それでも上がりすぎました。後半はもっと力を抜いたら、4回転トウループを降りられました。なぜか後半に決まるのは、ちょっと疲れてるくらいの方が、力がコントロールできているのかもしれません」

「新しいものを習得する時が、一番楽しい瞬間です」

　そして4回転ジャンプと回転の関係について語る。

「今の僕たちには、4回転って、力を完全に抜いてしまうと回らないけれど、力を入れすぎると回り過ぎちゃうという難しさがあるんです。それでも、コントロールが出来ているのは優真。彼は、回ろうと思えばもっと回れるんだけど、余裕をもって、しっかり開いてから降りてきている。さすがだなと。僕はスピードを出して跳んでいるぶん、トウをつく角度がちょっと違うだけでも上がりすぎてしまう。そういったコントロールが課題です」

　改めて4回転フリップの手応えをこう話した。

「トウループやサルコウのような余裕がないぶん、思い切って跳べばいいので、僕の中ではむしろ楽。新しいものを習得する時が、スケートしていて一番楽しい瞬間です」

　三浦が4回転で試行錯誤していたころ、鍵山と佐藤は、四大陸選手権（1月30日～2月4日、上海）を迎えた。

　鍵山は、ショートはパーフェクト演技で100点超えをマーク。フリーでは4回転フリップに挑戦した。本番ではステップアウトしたものの、その他のジャンプは完璧。フリーも200点を超え、合計307.58点で優勝を決めた。

四大陸選手権で金メダルに輝いた鍵山優真（右）と銀メダルの佐藤駿　©︎EPA=JIJI PRESS

「4回転フリップは、確率的にもサルコウとトウループと同じぐらいになりつつあります。世界選手権に向けて、また追い込んでいきたいなと思っています」

三浦から鍵山へのメッセージ

　そして鍵山は、三浦からメッセージが来たことを打ち明けた。

【次ページ】　三浦から鍵山へのメッセージ