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「ひとりだけ特進クラスの生徒が」リバプール遠藤航いつからペラペラに? 現地も注目の流暢な英語力「数年前まで中学レベルの教材を…」 

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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photograph byProSports Images/AFLO

posted2024/04/26 11:01

「ひとりだけ特進クラスの生徒が」リバプール遠藤航いつからペラペラに? 現地も注目の流暢な英語力「数年前まで中学レベルの教材を…」<Number Web> photograph by ProSports Images/AFLO

リバプールで信頼を勝ち取った遠藤航(31歳)。語学を駆使した高いコミュニケーション力は、プレミアリーグの舞台でも大いに活かされた

「レッスンを始めた時点で遠藤選手はすでに3児の父(現在は3男1女の4人)で、送り迎えをしたりお風呂に入れたり、子育てにもしっかりコミットしていた。レッスンはリモートなんですけど、『ボクも見る~!』ってお子さんが画面に入ってきちゃったり(笑)。そういった意味であまり時間がなかったので、アウェイ戦の前泊と代表活動中に集中してやることが多かったですね」

 東京大学文学部卒のサカモトから見ても、遠藤の学習意欲と“強度の高いメニュー”への耐性は群を抜いていた。歌を通じて耳と舌の素地を固め、そこから単語帳や参考書を用いてのリスニングとリーディング、暗唱へと移行しても、モチベーションが萎えることはなかった。中学レベルから徐々に負荷を上げていく過程で、「宿題を出せば必ずこなしてくる」のが遠藤という人間だった。

「(クライアントの1人である)原口元気選手に聞いたんですけど、代表メンバーのお喋りのなかで『日本代表で一番サッカー選手っぽくないのは誰?』という投票をしたら、遠藤選手が1位だったそうです。なんというか、いい意味でアスリートっぽくないんですよね。スポーツクラスのなかに、1人だけ特進クラスの生徒が交ざっている、みたいな(笑)。ロシアW杯の直前に課題として出したドイツ語の文法ドリルを、W杯期間中に最後まで終えていたこともありました。教える側としてはむしろ、遠藤選手でうまくいったからといって成功体験にしてはいけないな、と」

子どもたちに交ざってフランス語を学ぶ!?

 2018年のシント・トロイデン移籍後、遠藤は自ら現地の「公文」に子どもたちに交ざって通っていた。フランス語を母語とするチームメイトが複数いたことが主な理由だった。さらに、翌年シュツットガルトに移籍する前からドイツ語の学習も開始。語学学習の専門家としてドリル選びなどドイツ語の勉強法もサポートしていたサカモトだが、「いまでは彼の方がちゃんと喋れますね」と苦笑する。

「頭のよさって、学力だったり人間観察力だったり、いろいろな種類があるじゃないですか。遠藤選手の場合は、効率へのこだわりがすごいんですよ。思考が本当にロジカルで、徹底的に考えて答えを導き出す素養を持っている。彼の著書のタイトルにもありますが、まさに『最適解』マンですね(笑)」

 2023年夏にプレミアリーグの名門リバプールへと加入すると、遠藤の語学力の高さは現地でも注目を集めた。「Yeah」といった相槌を交えながら、インタビュアーの質問に流暢な英語で答えていく――短期間で“適応”を果たしリバプールの中盤の要となった日本代表キャプテンも、数年前までは中学レベルの教材と向き合っていたのだ。

【次ページ】 向上心も代表クラスだった原口元気

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