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元日本代表のラグビーアカデミーが「障がい者歓迎」を掲げたワケ…「出来ると思っていなかった」発達障害を抱える“193センチ、127キロ”選手の言葉 

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多羅正崇

多羅正崇Masataka Tara

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photograph byElite Rugby Academy

posted2024/04/25 11:03

元日本代表のラグビーアカデミーが「障がい者歓迎」を掲げたワケ…「出来ると思っていなかった」発達障害を抱える“193センチ、127キロ”選手の言葉<Number Web> photograph by Elite Rugby Academy

茨城県Elite Rugby Academyの君島良夫代表(左)。アカデミー生である正田信也さん(右)は自閉スペクトラム症とADHDの診断を受けているという

特別支援学校でラグビーに興味を…

 信也さんは、特別支援学校でタグラグビーに触れて、ラグビーに興味を持った。

 体格は中学卒業時点で身長193センチ、体重127キロという超ビッグマン。靴のサイズは34センチ。周囲が放っておかない逸材だが「集団」や「ザワザワ」が苦手で、スポーツはむしろ避けてきた。

 趣味は切り絵、釣り、料理。堤防で釣ってきた魚は自分でおろし、ピザは生地から作る。クリスマスにローストビーフを大量に作ったこともある。

 スポーツとは無縁だったが、中学部3年から運動不足解消を目的にさまざまなスポーツに触れ、運動が「楽しい」に変化。とりわけタックルの代わりにタグを取り合う「タグラグビー」に惹かれた。

「難しくなかった。緊張感もなくやれました」(信也さん)

 母の真紀さんは、息子の言葉を鮮明に覚えている。

「通っている支援学校は少人数で、ほぼマンツーマンで手厚く支援してくれます。ただ少人数ではあるので、本人は大勢でやってみたいと思ったようです。タグラグビーをしている時、『同じくらいの子たちとワイワイやってみたい』と言ったんです」

 小学校時代に体験したスポーツ少年団は、集団行動重視の方針が合わず続かなかった。

 親としては不安が先行したが、本人が言うならばとスクールを検索。そこで「障がい者歓迎」のマークがあった「Elite Rugby Academy」に行き着いたのだった。

 アカデミーに問い合わせると、「まずは体験から」と話は進んだ。

<後編につづく>

#2に続く
元日本代表選手のラグビーアカデミーが発達障害の選手を受け入れて感じたリアル…「予想外だった」チームメイトの“意外な反応”とは?

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