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「模試が良ければゲームソフト」で必死に勉強…“麻布→東大”の超エリートだったときど(36)を最強のプロゲーマーにした“父の言葉”

posted2021/10/21 11:01

 
「模試が良ければゲームソフト」で必死に勉強…“麻布→東大”の超エリートだったときど(36)を最強のプロゲーマーにした“父の言葉”<Number Web> photograph by Shiro Miyake

東京大学卒にして、eスポーツのトッププロとして活躍するときど

text by

平田裕介

平田裕介Yusuke Hirata

PROFILE

photograph by

Shiro Miyake

 2022年に開催される第19回アジア競技大会の正式競技として認められ、改めて注目を集めているeスポーツ。その日本人プレイヤーとして第一線を走り続けているのが、プロゲーマーのときど(36)だ。麻布中学・高校、東京大学・大学院へと進みながらプロゲーマーとなった彼に、プロを目指したきっかけ、意外な形でその夢を支えた家族との関係などについて聞いた。(全2回の1回目/#2に続く)

プロになるなんて、思ってもいなかった

――9歳の時に従兄弟とゲームで対戦したことが、プロゲーマーになるきっかけになったそうですが。

ときど 半年に1回、従兄弟と会っていて。彼の家にあったセガサターンで「バーチャファイター」を対戦してたんですよ。従兄弟は5つ上で、僕は小3で、その頃の5歳差ってすごく大きいじゃないですか。だからあまり勝てなかったんですけど、面白いなと思って。今度は勝ちたいから、また会うまでの半年の間にできるだけ練習しようって。

――それまでゲームはプレイされていなかったんですか。

ときど ずっとやっていましたけど、基本的にCPU相手に対戦することが多くて。言い方が悪くなっちゃうんですけど、同級生とやったりしても相手にならなかったんですよ。全然負けなかったので、従兄弟に負けて燃えたというか。

 従兄弟はやり込んでいるのもあったけど、攻略本も読み込んでいたんですよ、当時の僕は、対戦ゲームでもそういう本が出ているのを知らなくて。そこで、ゲームを本気でやってる人たちがいて、攻略本を書くようになるという道も知って。ゲームで生計を立てる、ゲームを仕事にしてる人がいるんだっていう。いまはこうやってゲームのプロでお金をもらってるけど、当時はそういうモデルがなかったので。さらにゲームに夢中になりつつも、自分がそういう道で生計を立てるようになるとは全然思ってもいませんでした。

「模試が良ければソフトを買ってもらえる」で麻布中合格

――ご実家はゲームに対して寛容なほうでしたか。

ときど 周りの家に比べたら、緩かったと思いますね。模試の結果が良かったら、ソフトを1つ買ってもらえるっていう。だから、勉強も頑張って。この前も親父に小言を言われましたからね。「すげぇ、買わされたわ」って(笑)。

――麻布中学のご出身ですが、そういった環境から合格を目指すことになったと。

ときど 勉強を頑張ったっていうよりは、純粋にゲーム目当てでやっていたら受かったという感じで。小学校の頃って、そんなに勉強やらないじゃないですか。僕はそういう見えやすい対価があったので、頑張りやすかったのかなって思いますね。

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ときど
梅原大吾

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