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「もう腹をくくるしかない」ロンドン2012・男子100m決勝で数々の奇跡が重なった中で“絶対王者”ウサイン・ボルトを撮影した思い出の1シーン 

text by

岸本勉

岸本勉Tsutomu Kishimoto

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photograph byTsutomu Kishimoto

posted2024/04/24 10:00

「もう腹をくくるしかない」ロンドン2012・男子100m決勝で数々の奇跡が重なった中で“絶対王者”ウサイン・ボルトを撮影した思い出の1シーン<Number Web> photograph by Tsutomu Kishimoto

先頭のウサイン・ボルトをジャスティン・ガトリン(アメリカ)やヨハン・ブレーク(ジャマイカ)らが必死に追う ©IOC-All Right Reserved.

ボルトという圧倒的なスプリンターがいてこそ撮れた1枚

 ボルトの1枚は、撮り終えて「はまった」と思いました。「はまる」という感覚を持てる写真はそうそうないのですが、まさに腹をくくり、これまでの経験を活かしたことで生まれた写真です。

 ボルトはある意味、自分にとって縁のある選手でした。僕は2003年にスポーツフォトエージェンシーを辞めてフリーランスのフォトグラファーになりました。ボルトが頭角を現したのは2002年くらいからで2017年まで現役生活をおくりましたが、僕も同じ時期、30代、40代に写真で結果を出せるようになっていきました。4年に一度の大舞台だけでなく世界陸上であったり、同じ時期に活躍するボルトは、ほんとうに大きな存在でした。

 しかもロンドン大会を前にしたジャマイカ選手権では100m、200mともに敗れて2位、不安視する向きもある中で圧勝したのです。ボルトのすごさをあらためて知った機会でもあります。リオ2016でも金メダルを獲りましたが2008年から9年にわたり一発勝負の短距離にあって王者であり続けたのはすごいことだと思います。でもレース前から「緊張することあるのかな」というくらい余裕を持っていて、しかもゴールするまで必死という感じもしない。もし110mを走り切るつもりでやっていたら、もっと記録が出たんじゃないか、そんなことすら思います。

 そんな話はさておき、選手が団子状態で競り合っていたらこの構図にはなりませんでした。ボルトという圧倒的なスプリンターがいてこそ撮れた1枚です。

 僕は良くも悪くも人の脳裏に焼き付いたら、それがたぶんいい写真なんだろうな、記録も大事だけど記憶こそ大事なんだろうとずっと思っていました。この写真はそれを体現することができた写真だと思っています。いつか日本人のファイナリストを、「この1枚」と言える記憶に残る写真に残したいですね。

 今も忘れることのないこの写真は、何度見返してもいろいろな記憶がよみがえる、さまざまな思いがよぎる、大切な1枚です。

(構成:松原孝臣)

《The Scene of Olympic・フォトグラファー「思い出の1シーン」》高橋尚子がシドニー2000・女子マラソンで金メダルを獲得して甦った大会前からの記憶 はこちら
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